評議員の堀田です。
時々,キャンパス内で年配の方の集団を見かけます。キャンパスツアーのようです。といっても,学生によるキャンパスツアーとは違って,J2棟の20階から周辺を眺め,キャンパス内を探索し,すずかけ台の自然を楽しんでいるようです。これに倣ったわけではありませんが,日頃の運動不足解消のため,先日,東工大退職者など同年配の仲間と総勢6人で,鎌倉駅に集合し,天園ハイキングコースから大仏ハイキングコースにかけて歩いてきました。出不精の私ですが,だからこそ,他に特別な事情がない限り,お誘いを受けたらできるだけ断らないようにしようと思っています。既に梅雨入りし,前日までは雨も予想されていたのですが,当日は急に天候が回復し,曇天と晴天の中間ぐらいの感じで,暑い一日となりました。
✿建長寺と相模湾✿
鎌倉駅から段葛を通って,鶴ヶ丘八幡宮の手前で右折,頼朝の墓や鎌倉宮などに寄り道して天園ハイキングコース方面に向かいました。コース横の崖には「やぐら」もあります。鎌倉十王岩では若宮王子,反対側にはランドマークタワーを眺め,勝上けん展望台からは建長寺の伽藍を見下ろし,明月院(あじさい寺)の門前は賑わっていましたがこれを横目に通過,途中の昼食を挟んで長谷の大仏まで,世間話やどうでも良い蘊蓄を語りながら,参加者の意外な一面を知ることができた約6時間でした。その後の2日ばかりは足の筋肉の痛みに悩まされましたが,適度な疲労感も含めて有意義なハイキングでした。
✿梅雨にはあじさいが似合います✿
最近,講義の一環で,ある会社の工場見学を計画しました。学生への案内はこれまでと同じにしましたが,参加者数は例年の半分でした。工場見学の機会は学生の間ぐらいしかありませんよ,と呼びかけたのですが,授業の単位には関係がなく,就職希望先でもない,となると見学しても仕様がないということでしょうか。非常勤講師をお願いしているある大学の先生にこの話をしましたら,その大学でも,単位にならない行事には参加者がほとんどいないが,単位が貰えるとなると参加しなくても良い学生まで参加してくる,ということを仰っていました。見学が今すぐ役立つとは限りません。でも,機会を捉えて色々なことを見聞きしたこと,仲間と共に行動したことがボデーブローのように効いて,いつか役立つかもしれません。将来の自分への投資だと言えば,学生の皆さんにも分かって貰えるのでしょうか。
現在,大学では教育改革が議論されています。学生の学問・研究への興味を如何に引き出し,卒業・修了時の学生の能力保障を如何に担保するか,そのためにはどのようなカリキュラム構成とし,如何にして体系的な履修をさせるか,が大きな検討項目の一つです。もちろん,学生の皆さんにとっては,卒業・修了が終点ではありません。その先まで考えたとき,目先に囚われず,将来の自分への投資として,種々の行事などにも積極的に参加してみませんか。
一見無駄に見えて結果として無駄ではないこと,あるいは無駄(遊び)が重要なことも世の中には結構あります。先日もある懇談会の席で,頭が良く目先の利く学生より,(失礼ですが)学力は少々落ちるかもしれないけれど,種々経験し(回り道をし),他人とのつきあいなどを通じて見所のあった学生が結局は社会で活躍している,という話がありました。
サントリー創始者の鳥井信治郎氏の「やってみなはれ」ではないですが,「機会があったら,誘われたら,ともかく参加してみなはれ」。